イマジンの力を見くびったらあかん。
私はこれまでいろいろな家に住んだ。数えてみたら、19もの家に住んでた!
アメリカに来てからだけでも、もう5回の引越し。旅行から戻る時、時々「あれ、どの家に帰るんだっけ?」「うちの玄関はどんなだったかな?」なんてマヌケなことを本気で思ったりすることもある。
今のひとつ前の家は、南カリフォルニアでも一等地の高台にあり、太平洋が一望できる素晴らしい家だった。
毎晩、ベッドから見える海の暗さやそこに反射する月の明かりを見ながら眠りについた。神聖な気持ちになる家だった。
毎日感謝し、毎日楽しんだ。
ところがある日
「あんた、この家にいたら成長できへんで」
松っちゃん声のnobinobiくんが、私の中でささやいた。まったく余計なことをささやいてくれたもんだ。
それからすぐ、nobinobiくんの思惑どおり、私は3分の1の広さの家に引っ越し、その上、ダンナとも別居するはめになっちった。
「よっしゃ。環境は整ったな。あとはやるだけや!」
nobinobiくんは、はりきっていたけど、私はいつもどおりウジウジしていたんだ。
心休まる景色は見えないし、時折聞こえる飛行機の音にも気が滅入った。
話を本当に聞いていたかどうかは怪しいもんだったけど、目の前にいて話相手になってくれていたダーリンもそばにいない。
毎晩、ベッドに入ると、目を閉じて、あの真っ暗な海を思った。
・・・・・
💡
そうか、なあんだ。
目を閉じて、想像さえすれば、好きなところで眠れるんだね。
なんなら、
甘い香りが漂うカリブのどこかの島のコテージ。
アタカマ砂漠の満点の星空の下。
フランスの田舎町に佇む中世の古城。
「どこでもドア」がなくたって、
想像力さえあれば、私たちはどこにでも行けるんじゃん!
(続く)
読んでくれて、ありがとう!